げに万世の ためし成けれ

 馬の嘶きが、妙なところで聞こえた。  馬場はここからだと遠い。出陣の号令もないのに何故、と思って顔を上げた小夜左文字は、密集する庭木の影から突如現れた馬の鼻先に、ビクッと身を強張らせた。  耳が可笑しくなったのではない...