Holiday2
散歩に行こうかと、誘ったのは彼。 久しぶりの完全休日、朝から夜まで予定は一切無し。何処へ行こうと、何をしようと誰も咎める事をしない。咎められる必要の無い日の午前、少し遅い時間帯。 漸く起き出してきた城の主にそう声を...
散歩に行こうかと、誘ったのは彼。 久しぶりの完全休日、朝から夜まで予定は一切無し。何処へ行こうと、何をしようと誰も咎める事をしない。咎められる必要の無い日の午前、少し遅い時間帯。 漸く起き出してきた城の主にそう声を...
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黒々とした闇が世界を染めている。 ライブまで残り日数もいよいよ十日を切り、準備や打ち合わせに忙しいメンバーの為に食事を用意するアッシュもまた多忙を極めていた。 健康に気を配りながら、栄養価の高い、しかし食べやすい食...
がたがた、ごとごと、ぐしゃ、ばたん。 「ん~……?」 外出先、本屋で買ったばかりの雑誌を早速廊下で待ちきれずに広げていたスマイルは、紙面を眺めていた目線を持ち上げて同時に障害物のない場所を、前に進むことだけに使ってい...
かしゃん、と薄い音が響く。 「あ」 間を置かずに零れ落ちた声色に目線を上げると、やや離れた場所に立つ彼がどこか茫然としたように床と、自身の視線との間にある己の手とを見下ろしている最中だった。 首を傾げ、広げていた新...
騒々しくもそれなりに楽しく、美味しかった夕食も終わって一息つく時間帯。 アッシュは風呂の準備と夕食の片付け、そして明日の朝食の下ごしらえと慌ただしく走り回っては、鼻息混じりに台所を占有している。忙しいはずなのにこれら...
人がふたり、言い争うような声。 たまたま、特別な目的地も定めぬまま探検する気分であちこちを歩き回っている途中で通りがかった、部屋の、前。 扉越しに聞こえてくるのは紛れもなく、この巨大な城の所有者である銀糸のヴァンパ...
街中を、彷徨う。 行くあてなど当然ながら、ない。どこへ行こうかという思いすらそもそも頭の中にはなかった、ただ漠然と何処かへ行きたいと、それしか考えていなかったから。 無駄に山を成している人混みを掻き分けながら、騒然...
ユーリは、朝が苦手だ。 時間が許す限り、ずっと眠っている。放っておくと、夕方日が傾くまで起きてこない。日が沈んできてから目覚める事もよくある。そして普通に、時計の長針と短針が重なり合う時間帯にはまたベッドに潜り込む、...
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