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雨が降った、ようだ。 と言うよりも、降っている。現在進行形で。 朝、出かける前にテレビで見た天気予報は、朝っぱらから化粧の濃いお天気お姉さんが爽やかに「降水確率はゼロパーセントです」と豪語していたのに。 「なに、こ...
雨が降った、ようだ。 と言うよりも、降っている。現在進行形で。 朝、出かける前にテレビで見た天気予報は、朝っぱらから化粧の濃いお天気お姉さんが爽やかに「降水確率はゼロパーセントです」と豪語していたのに。 「なに、こ...
もし、今はいない誰かにひとことだけ、ことばを伝えられるとしたら。 貴方は誰に、なんと伝えますか? 陳腐な番組だった。 よくあるバラエティーのひとつで、他に良い企画が無かったのかと言いたくなるような内容だった。 ...
窓から差し込む光は眩しいが、薄手のカーテンに阻まれて優しい雰囲気を醸し出している。直射日光を浴びたなら目を逸らさずにいられないが、屋内で特に何も無い机にだらしなく寄りかかっている分には、まったく非難の対象にならなかった...
電話が鳴った。 最初、部屋のカバンに入れたままだった携帯電話からかと思ったが、そうじゃない。一瞬首を捻ってから、慌ててその音が、あまりにも使用頻度が低くて解約を考えようとしている固定電話からの音だと気づいて駆け出した...
「あれ……」 闇の中、点々と明かりを燈す電信柱の前を自転車で走り抜け、更に左に曲がろうと軽く腰を浮かせてブレーキに力をこめようとしていた時だった。 曲がろうと狙いを定めていた空間の僅かに手前、街灯に足元を照らされた電...
その日は、とても良い天気だった。仕事などせず、どこか適当な場所で午睡を貪りたくなる、暖かな日差しに適度な温さの風が吹く、良い日だった。 だが悲しいかな社会人である身はそんな自由人の生活を許さず、ただ黙々と手を動かし続...
「なんていうか、さ」 「ぅん?」 突然、彼は足を止めて爪先を茶色いブロックで覆われたの地面に押し付けた。ぐりぐりと足首をねじり回し、俯いて先に呟いた言葉から先を続けない。まるでいじけているみたいだ。 彼が立ち止まった...
日差しが眩しい。なだらかな坂道を登りながら、自然上向く視線の先に燦々と輝く太陽を見つけ、口許が無意識にきつく結ばれていく。だがじきに持ちこたえられなくなって力も弛み、広げられた唇の隙間からこぼれ落ちるのは、熱を孕んだ溜...
仕事の合間、いわゆる空き時間。 手持ち無沙汰に待つだけも飽きるので、気分転換にあちこちぶらぶらしてみる事にした。 そうして結局、辿り着くのはビルの屋上。晴れやかな空が頭上一面に広がる、風も強くあまり過ごしやすいとは...
昨夜は雷鳴が轟く嵐だった。 窓の外は豪雨で、ほんの少し頼りない窓枠は風が吹き付けるたびにガタガタと音を立てて揺れた。湿った空気は室内に満ち、肌寒さを覚えて身体を抱きしめた背後で光が瞬く。 数秒後、遅れてやって来た轟...