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雨が降った、ようだ。 と言うよりも、降っている。現在進行形で。 朝、出かける前にテレビで見た天気予報は、朝っぱらから化粧の濃いお天気お姉さんが爽やかに「降水確率はゼロパーセントです」と豪語していたのに。 「なに、こ...
雨が降った、ようだ。 と言うよりも、降っている。現在進行形で。 朝、出かける前にテレビで見た天気予報は、朝っぱらから化粧の濃いお天気お姉さんが爽やかに「降水確率はゼロパーセントです」と豪語していたのに。 「なに、こ...
もし、今はいない誰かにひとことだけ、ことばを伝えられるとしたら。 貴方は誰に、なんと伝えますか? 陳腐な番組だった。 よくあるバラエティーのひとつで、他に良い企画が無かったのかと言いたくなるような内容だった。 ...
何も考えずに部屋の扉を開けたら、前髪を掻き揚げて方向へ逃げていった冷気に思わず身震いがした。 「寒っ」 思わず声に出して身体を両腕で抱きすくめる。背中から首筋へ走る肌があわ立つ感覚にまた別の悪寒を覚え、いったい何事か...
Deuilは三人組のバンドであるが、活動はバンドだけ、ではない。 歌は三人の名前で発表することもあれば、ソロで各自出したりもする。或いは自分では歌わず、楽曲のみを誰かに提供したり、アッシュに関しては料理本を出したりと...
コーヒーでも飲もうと思い、リビングに降りていくと先客が居た。 先客といっても、元々はこの城の主であり自分が所属するバントのリーダーなのだが。 扉を開けたちょうど真向かいに置かれているリビングソファーに、こちらに背を...
窓から差し込む光は眩しいが、薄手のカーテンに阻まれて優しい雰囲気を醸し出している。直射日光を浴びたなら目を逸らさずにいられないが、屋内で特に何も無い机にだらしなく寄りかかっている分には、まったく非難の対象にならなかった...
電話が鳴った。 最初、部屋のカバンに入れたままだった携帯電話からかと思ったが、そうじゃない。一瞬首を捻ってから、慌ててその音が、あまりにも使用頻度が低くて解約を考えようとしている固定電話からの音だと気づいて駆け出した...
気まぐれにテレビをつけると、嵐が接近中というテロップが丁度上の方に流れているところだった。 「へぇ……」 そういわれて見れば、窓の外の雲行きはどうも怪しい方向へ向かっている。灰色の重たそうな雲が空一面を覆い尽くそうと...
庭で、アッシュ君が干したのであろう洗濯物と、真っ白なシーツが風に煽られて揺れていたから。 足元に古びた、けれど弦は張り替えられてまだ新しいクラシックギター。確かスマイルがこの城に来た当初から持ち歩き、愛用しているもの...
その日は何故か早く休む気になれなかった。 妙に身体が高揚している、特に日中これといった出来事もなかったはずなのに。 普通に仕事をし、食事をし、仲間と語らい、湯船に身を浸して気持ちを休め、まるで健康な人間の如きタイム...