光の在処

タ ス ケ テ        声が聞こえ、ハッとなりマグナは顔を上げた。  今までぼうっとしていたらしい、自分が立っている場所が何処であるかを認識するのに数秒掛かった。だが、その数秒が終わっても彼はそこが何処なのかを理解...

甘い休日

「これあげる!」  そう言って両手いっぱいに抱えていたものをマグナに押しつけて、褐色の肌をした少女……と呼ぶには少々年齢がアレであるが、ずっと人里離れた場所でひとり暮らしていた分幼さが充分に残っているルウは勢いよく駆け出...

優しい嘘

 いつか、必ず。  約束は、けれど最悪の結果で果たされてしまって。  苦々しい気持ちを抱えたまま、重い足取りでただ前だけを目指して歩いていく。その視界に収まるものは、己が踏み出す足とそれが踏みしめている大地ばかりだ。  ...

風のコトバ

 その子を初めて見たのは、夕暮れ間近の庭園だった。  勉強が一区切りついた僕が庭に出ると、ちょうど門から馬車が入ってくるところだった。正面玄関の前に横付けされた馬車から、半ば強引に引っ張り出された少年の横顔が一瞬だけ見え...

花火の夜

 色々なことがあった。  色々なことが在りすぎて、頭の中が整理し切れていない面も大きい。  けれど分かることは、これだけは言えるって胸を張れる事はある。  俺は自分が決めた道を今ようやく歩き出せたこと、守りたいものを見つ...