空の青

 カツン、と歩く度に硬質の音が石造りの廊下に反響して消えていく。  薄暗い廊下を数分歩き続けると、唐突に規則正しく組まれた石壁が途絶えて眩しい太陽光が彼を出迎えてくれた。  片手をのろのろと持ち上げ、額に翳すことで直射日...

狭間の生命

 朧々とした月の映える空の下で、僕らは、いつもと同じように、けれど今までとは確実にまるで違ってしまった空気を感じながら、屋根の上に座っていた。  お互い、ことばのひとつも発さぬまま、こうやってじっとしているだけの時間が果...

ナツコイ

 サイト3周年企画でのミスフル応募対象小説でした。一応投票で2位に入ったんですよね、馬猿…てっきり犬猿が上に来ると思いきや。でも私は、馬猿と牛猿が上位で犬猿は……三番目かそれより下?という人なので却って良かったかもしれないです。  実際に甲子園のテレビ放送を見ながら打ち込んでいました。色々とバージョンを考えてみたんです...

そして僕らは旅に出る

 サイト3周年記念小説の一環で、やっぱり大慌てしながら書いていた記憶だけ残ってます。確か5日間程度の時間で、他ジャンルも加えて4本近く書いたはずだから……凄いね、改めて思い返すと。  夏に書いているのに、中身は夏が終わってからの時期というちょこっと矛盾した内容で(汗)微妙に猿が愛されまくっている感じがしないでもない、オ...