コトノハノマホウ/犬飼冥の場合

 暇、だったから。  理由はそんなところ。退屈しのぎになる、けれど道具もなにも必要のないものをしようと考えていたら、結局そんなものしか思い浮かばなくて。  この年になって、男ふたり向き合って真面目な顔をつき合わせながら、...

ソノセナカ、キミノホコリ

 鹿目先輩誕生日記念小説、ってなわけですがあんまり鹿猿とか猿鹿とか考えずに真面目な小説にしようと思っていたはずが、なーんか違う。スランプ中でもないんですが、改めて書こうとするとダメになる期間の所為でつまらない作品になってしまいました。ちぇっ。  鹿猿鹿(リバ?)な小説は他に2ネタほどあるので、そのうちま...

真昼の月

 月が出ていた。  真昼の月は儚く、朧気で、まるで夢の中でまどろむ淡い恋心にも似ているような気がした。だがすぐに、陰鬱な気持ちが押し寄せてきて首を横に、小さく振ると僕は視線を足元に咲く白い花に落とした。  今日、ひとりの...

夏草の道

 寥々とした荒野のただ中で、ひとり道を失い男が立ちつくしている。  空は暗く重い雲が一面を覆い尽くし、旅人に道を示す星の明かりすら、今では一条の光もない。  目印となる巨木や山並みもなく、どこまでも平坦なばかりの地平線が...

存在理由の隣側

 子津君お誕生日オメデトウ! じゃないんですけどね…本当は。完璧に忘れ去ろうとしていました、ゴメンよネヅッチュー……あうあう。  牛猿と鹿猿と子猿、どれが読みたい?と聞いて「片思いでも子猿が読みたい」と言われたので書いて、直後にサイトの鯖が落ちてそれどころではなくなり、更新が遅れてしまってギリギリ子津君の誕生日に間に合...

キミノトナリ

 実はキリ番設定していた10万と、そのマイナス1の両方に申告者が出てこなかったのですよ。なので3周年企画でこっそり付け足した、申告者無しの場合のリク権譲渡に応募されたBUNさんへ、これは進呈。  リク内容が「猿を好きで仕方がない犬」の犬猿って事で。こんなんで良いのかなぁ……と思いつつ、他に書いた記憶に乏しいくらいに、ベ...