青き誇り

 敵を眼前にしておきながらそれらに背を向けて撤退するということは、騎士としてあるまじき行為であり、最大の恥辱であると彼は考えているらしい。助けられるはずの多数の命を見捨てたという念もあるのだろう。自領へ戻ってからしばらく...

見上げた先に映るもの

 馬猿で行こう、と決めたのは、司馬君の身長があまりにも本誌ででたらめだったものだから、ついつい「司馬君は伸びたに違いない!」と勝手に妄想したのがきっかけ。色々とネタを考えた結果、睦月サンとのチャットの中で彼らの服装を決めて、更に妄想を膨らませて行った結末として、プロットは完成しました。できあがりがスバラシイとは、さすが...

秘め事

 月明かりだけの薄暗い屋根裏部屋で、彼は足の取れた椅子に凭れ掛かった状態で座っていた。  何処を見ているのかも解らない視線は夜の星が輝く窓の外に向けられている。けれどきっと、彼は星なんか見ていない。  声を掛けるべきか、...

雨宿り

 昼間はものすごくいい天気だったのに。 「うっわー……土砂降り」  サスケが真っ黒の空を見上げて思わず呟く。 「そんなこと、今更確認しなくても見ればすぐに解るだろう」  彼のすぐ横に立っているルックが、暑苦しいから側に寄...

刹那、捕獲計画

 その日は国境に接近しつつあるハイランド軍をどうやって駆逐するか、についての軍議が行われていた。  出席者はラストエデン軍リーダーのセレンは勿論のこと、軍師三人集も無論参加していたし、実際に戦闘に発展したときに兵を率いて...

悪戯な月

 その日、一日中リプレの手伝いで買い物に走り回っていたトウヤはくたくたに疲れていた。 「死にそう……」  夕食を終えて自室に戻った途端、ベッドに倒れ込みトウヤはため息をこぼす。うつぶせの状態だったので声はくぐもっているが...

日曜日の午後、君に

 二本目の犬猿。まだかなり、勝手が分かってなくて犬が犬じゃなくなってます。この辺から、キャラの一人称でミスフルは書いていこう、と決めた感じがします。あと、本ジャンルに加えるって事もこれの前段階で決定してました。  いまいち犬が格好悪いっていうか、ヘタレでも男前でもない姿に苦悩します。ヘタレに出来ないのならいっそ、思いっ...

花見日和 刹那日和

 日溜まりがとても心地よい。  風も、柔らかくなったような気がする。そう言ったら、真なる風の紋章を持つルックが「そうかい?」といつものように冷たい視線を送ってくれたが。  でも、確かに風が暖かく優しくなったのだ。  その...