幻想水滸伝1&2 考え事 Posted on 2006年3月1日 by 龍崎 果南 ほのぼのするような暖かい日の午後。レイクウィンドゥ城の城主ことセレンは、城の庭にある池の前でボーっとしていた。 腰掛けるのにちょうど良い高さの石に座り、ぼへーっと池のアヒルを眺めている。彼が何をしているのかは分からな...
幻想水滸伝1&2 水影 Posted on 2006年2月28日 by 龍崎 果南 ただ立っているだけでも、疲れるというもの。他にすることがないとはいえ、城の中央ホールに突っ立っているだけに自分を冷静に考えてみると、かなり、間抜けではなかろうかと思ってしまう。 「いいけどね……」 頬にかかる髪を手で...
幻想水滸伝1&2 旅立ち Posted on 2006年2月27日 by 龍崎 果南 風がざわめく それは新たな時代の前触れ 良くも悪くも、時代は人を選ぶ。 時の流れは、それこそまるでひとつの意志でも持っているかの如く不具合の生じた大地に狂者を生み出し、それを打ち破る英雄を創り出す。 見えない意...
幻想水滸伝1&2 大地の唄 Posted on 2006年2月26日 by 龍崎 果南 空は青くどこまでも続いている 果てしなく広いこの世界で 僕達はいったいどれだけの涙を流せば この大地を浄められるのだろう 今でも、あれは全部悪い夢で、目覚めれば昔と何ひとつ変わっていない日常が待っているのだと、...
幻想水滸伝1&2 緑陽の杜 Posted on 2006年2月25日 by 龍崎 果南 夜。 ──? 何かに呼ばれたような気がして、キニスンは目を覚ました。 身を起こせば、すぐ傍らで同じように浅い眠りについていたシロがうっすらと瞼を持ち上げ、キニスンを見上げてくる。しかしどこか遠くから微かに響いてき...
幻想水滸伝1&2 我が儘な魂 Posted on 2006年2月24日 by 龍崎 果南 夕暮れ時のミューズ市庁舎。 たくさんの資料を挟んだファイルを両手に抱え、クラウスは扉を苦労して押し開けた。かつてミューズ市長として都市同盟を率いていた女傑が働いていたその部屋は、今は数年前に新しく成立したラストエデン...
幻想水滸伝1&2 咎人の祈り Posted on 2006年2月23日 by 龍崎 果南 ハイランド王国皇都ルルノイエ── 白亜の王城は、美しくきらびやかであるが、どことなく冷たい印象を見る者に与える。それは、ハイランドの歴史が戦争の繰り返しという事実が故の、絶対の力の象徴だったためかもしれない。 人生...
幻想水滸伝1&2 風の訪れ Posted on 2006年2月22日 by 龍崎 果南 時代は変革を望み、嵐は平穏を望む人々を容赦なく呑み込んでゆく 争いある火種はすでに高くまで昇り、あとは全てを捧げる哀れなる羊を待つばかり 選ばれし事を幸運とは言わぬ それは限りなく不幸である 汝はその魂の欠片まで...
幻想水滸伝1&2 業であるが如く Posted on 2006年2月21日 by 龍崎 果南 暗い闇の中で、君はいつも、そうやってひとりぼっちで泣いていたのかい……? 泣いている。 泣いているんだ、子供が。 声を殺しながら、自分が泣いていることを誰にも悟られないように、泣いている。 暗いくらい闇の中で、...
幻想水滸伝1&2 世界が変わるとき Posted on 2006年2月20日 by 龍崎 果南 彼は願う 願いは想いになる 想いは力となり、力は彼を強くする その瞳の彩は鋭き刃のよう 気高き獣のよう 全てを切り裂き、己が信念を決して忘れ去らぬ 亡者のごときその力強さ ──黒き刃の紋章よ。もし本当にお前...