真昼の月

 月が出ていた。  真昼の月は儚く、朧気で、まるで夢の中でまどろむ淡い恋心にも似ているような気がした。だがすぐに、陰鬱な気持ちが押し寄せてきて首を横に、小さく振ると僕は視線を足元に咲く白い花に落とした。  今日、ひとりの...

夏草の道

 寥々とした荒野のただ中で、ひとり道を失い男が立ちつくしている。  空は暗く重い雲が一面を覆い尽くし、旅人に道を示す星の明かりすら、今では一条の光もない。  目印となる巨木や山並みもなく、どこまでも平坦なばかりの地平線が...

空の青

 カツン、と歩く度に硬質の音が石造りの廊下に反響して消えていく。  薄暗い廊下を数分歩き続けると、唐突に規則正しく組まれた石壁が途絶えて眩しい太陽光が彼を出迎えてくれた。  片手をのろのろと持ち上げ、額に翳すことで直射日...

ヒトの闘い

リクエストがあったので、古い作品を掘り返してきました。 当時は、何故戦争は続くのか、終わらないのか。何処に利益があって、終わらせる事の弊害があるのかとか。そういう事を小難しく考えていたような気がします。 ゲームで語らない内容だったからこそ、踏み込んでみたかったのかなー…とか。 オリキャラが出張ってます。