irritate

 ちらちらと感じる視線。  しかしその視線の持ち主の姿は何処にも見当たらない。  だのにしっかりとした意志を内包している視線は確実に、存在している。  休ませることなくフォークとナイフを持つ手を動かしながら、ユーリはさっ...

空の光、それは君の色

 この辺りから、タイトルは長文の日本語で統一しようと心に誓いました。馬猿。  私の親友に、猿受けだけれど犬猿よりは馬猿のが好き、って子が居て、その子に喜んで貰えたら良いかな、という程度で書いてます。結局は自分が書きたいから書くだけなんですけどもね……私は。  ほっぺたを摘んで「固くない」っていう、あのシーンは実は大昔に...

陽景

もうひとつ、旧サイトより。幻想水滸伝1後の坊ちゃんの話を。 たぶん書いたのは5年以上前です… 今の自分よりもずっと丁寧に、綺麗に書いている。この頃の自分を見習わないと。

whim

 重なり合う金属音は一定で、淀みがない。  本当ならそれは雑音でしかないはずなのに、彼の手が動くたびに奏でられる光沢のある音はそれすらもひとつの音楽のようで、聴いていると心地よい。 かりゃり、と。擦れ合った銀の食器が彩る...

風のコトバ

 その子を初めて見たのは、夕暮れ間近の庭園だった。  勉強が一区切りついた僕が庭に出ると、ちょうど門から馬車が入ってくるところだった。正面玄関の前に横付けされた馬車から、半ば強引に引っ張り出された少年の横顔が一瞬だけ見え...

wave

 波のように押し寄せる、それは魂の叫び。  風のようであり、だがそれは布地や髪を揺さぶることはない。けれど確かにその波は存在し、自分たちに向けて押し寄せてきている。その波に呑まれてしまわぬよう、己は懸命にかいなに抱くベー...

冷たくて、熱いもの

 馬猿です。かなり、上と間があいてます。ミスフルを本ジャンルにくわえるかどうかでかなり悩んでる時期でもありました。  司馬君の一人称が分からないとあって、結局彼はひとことも喋らず。まぁ……私、喋らないキャラを書くの初めてではなかったので苦労はしませんでしたけどね。むしろ猿野の早口というか、彼の台詞が大変でした。

花火の夜

 色々なことがあった。  色々なことが在りすぎて、頭の中が整理し切れていない面も大きい。  けれど分かることは、これだけは言えるって胸を張れる事はある。  俺は自分が決めた道を今ようやく歩き出せたこと、守りたいものを見つ...