十六夜の月

 暗闇が押し迫り、自身の足許を確かめるのもおぼつかなくなり始めていた頃、ようやく仲間の間から誰とも無しに、今日はここまで、という声が上がり始めた。  最初に賛同の声を上げたのはお約束ながらフォルテで、だが相棒のケイナも疲...

FullMoon

 満月。  薄く棚引く雲を従えて朧気に、そして儚げに淡い光を放っている月。  けれど月は自分ひとりでは輝けないんだよと、遠い昔に誰かが言った。月は、自分を照らしているのに自分からは見えない太陽を捜して夜を彷徨っているのだ...

非恋愛的恋愛症候群2

 犬猿で行くつもりだったものが、何故か途中から沢猿に。まぁ、犬猿メインの猿総受けで書き綴っていくつもりでいたので、これでも構わないのですけれどね。開き直って沢猿で行ってみました。じゃあ3は馬猿か牛猿にしなきゃダメかなぁ……沢猿って需要あるのだろうか。ふと疑問。

光の在処

タ ス ケ テ        声が聞こえ、ハッとなりマグナは顔を上げた。  今までぼうっとしていたらしい、自分が立っている場所が何処であるかを認識するのに数秒掛かった。だが、その数秒が終わっても彼はそこが何処なのかを理解...

Sigarette

 買ったばかりでまだ封も開けていない煙草を置き忘れたことに気付いた。  しまったな、と心の中で自分の失態に舌打ちしながら今来たばかりの廊下を戻り始める。分厚いカーペットが敷かれた廊下に足音が響くことはなく、柔らかな毛並み...

幾何学模様の恋愛事情

 馬猿、です。ただ単に「一緒にいると安心する相手」というものを書きたかっただけなのです。  ラストのあの瞬間から、猿の中で馬に対しての感情に何かの変化が生まれたかに思います。そんでもって、今まで軽々しく「好き」と告げてきた司馬君の中でも、猿への「好き」という感情が違うものにランクアップしたもの、と私は想ってます。多分次...